空飛ぶ機械のための習作/はらだまさる
 
だろう。あなたにも経験があると思うが、彼、または彼女の怒りや悲しみの真実を、本当の意味であなたに理解が出来るだろうか。それは否、である。何故なら違う過去を生きているからである。何故なら誰しもが共通の過去を生きていないからである。正確な理解などあり得ない。誰しもがどうしようもない断絶のうえで、孤独を生きているのだ。


 では、ここでまず「客観する」ということを考えてみる。
 いま、これを読んでいるあなた自身が「欲しくないのに持っている不満」というものを想像して欲しい。例えば「口うるさい上司がいる」とか「浮気を繰り返す彼」とか、何でもいいのだけれど、そのことであなたが今現在、どのような状態(
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