「種を蒔く」/ソティロ
 


毎日水をやって、ぼくがここに居る理由にしよう

旅行とかのときは、信頼できるひとに世話を頼もう

その木を守ろう

知らぬ間に、ぼくよりずっと大きくなって
太い幹と無数の枝を伸ばして、根もぐんぐん土を掘って

その木に上って町を見下ろそう
夕日も見よう

そのときぼくはもうおじいちゃんかもしれないけれど
おじいちゃんにもなれないかもしれないけれど

ぼくが死んでもその木は生きつづける

ぼくが死んだらその木の下に埋めてください
その木の養分にしてください

ぼくを悼むひとがもし居るならば、
その木を訪れて

でも、そんなひとも居なくなって

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