眩めく昨日/結城 森士
 
、何度か後ろを振り返ったが誰の姿も見えず、代わりに自分の影が遠くへ伸びていった。

(未だに微笑みながら)

鉄の錆びつき朽ち果てた自転車の立掛けた塀に映る
          首の折れた女のしゃがんだ姿が
(白紙を破く音)
と共に消える    (白い、白いコート)
やがてその一筋の道を歩む僕の周りで
透明な子供達の足音がジャ…ジャ…と円を描き始める

―――――――――――(僕の中に内在する声)此処より遥か前方の空との境界線で目を開き彼女の後姿を凝視している

路傍に現れた水溜りの水面を走って逃げていく太陽
子供達の駆け巡る足音は幾度も廻り続け
       彼女は
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