眩めく昨日/結城 森士
 

       ながら)…それを消す

激情を吐いてはいけない、吐いてはいけないと思う

女が微笑みながらそう言っている
(微笑だけを残しながら)
彼女は僕が壊れていくのを待っている
やがて地面に転がった視界から、闇の中に枯れかけた花々が散在して映っている







あの日。七月の太陽の焼き付いた細い路上。
僕の影があの女から腐敗の言葉を浴びていた日。
(…私より先に謝るべき人がいるんじゃない?)
二月の、涙目に痺れを伴った細い一本道。
僕だけがその今を歩いている。

斜めから射しこむ夕陽の遠くから男の低い呼吸(う…う)を耳元に聞くことがあり、何
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