ほしのまち/水町綜助
 
見た

静かな夏のさかりに

その夜に

何個もの何個もの灯籠が黒い川の中に流され

またたくオレンジ色が震えて

幾つも

ゆらゆら

ちりちり

黒い宇宙に吸い込まれていった

ひとは

この星の町の中で

そこに浮かぶ無数の割れた天体で

それは

コンビニエンスストアのアルバイトのおんなのこと

高校生の息使いであるし

老夫婦であり

母と父で

僕と君の筈だった

と思っていた

町の中を電車が走っている

終電は赤い

ライトをともして

空を轢く

もうきっと数時間もすれば朝が

宇宙を
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