文鳥/水中原動機
 
は「あんたらも座りなさい!」と叫んだ。「なんで?」「死んじゃうの?」と交互に聞く声も無視して。何分、いや何時間経ったのだろう? 結局そのまま文鳥は冷たくなっていた。そして母は言ったのだった。「もう、鳥は絶対に飼いませんからね!」

どうも自分の詩に書く鳥がリアルでないことを考えていたら、ふとそんなことを思い出した。そしてなぜ、母があのとき烈火のごとく怒り狂ったのか、同時に分かった気がしたのだ。母にとってあの文鳥の死は、祖父の死と等価だったのではないか。

母は幼い頃、祖父に抱きすくめられるのが大好きだった。だが何かにつけて口やかましく、厳格で、帰りが遅くなると玄関で仁王立ちしているような人
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