既にそこにあるもの?1/んなこたーない
　
れが必要としていたのは、無意識のうちにわれわれを支配する、
あるいは暴力的な力でわれわれの理性を無効にする、そのような神話の象徴性であった。
そうしてお互いを欺くだけでなく、自らをも欺く結果になったとはいえ、
神話の世界に生きるというわれわれの選択は自己救済のひとつの試みであったと、
灰燼となったわれわれの計画をまえに、敗北者の潔さでわれわれの失敗を認めることが出来るようになった今だからこそ、
初めてぼくはそう確信を持って言うことが出来るのだ。

2．

われわれが始めて出会ったのは、女装クラブのパーティー会場においてであった。
その女装クラブでは会員同士の親睦も兼ねた「美人コ
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