飴玉のある風景(サボテン)/野火 後里
を柔らかく撫でてやる。「ああ見えてけっこう痛いからね。」
条件反射で首をのばすサバは、だがしかし目は飴玉から離れない。
次から次へと降ってくる空を不思議そうに見つめている。
通りには人一人見当たらない。
大粒の飴玉がごろごろ転がっているだけだ。
飴玉が降ってくると、私たちは家にひきこもる。
サバはまたも私の足に擦り寄ってきた。
今度は鳴きもせず足元を行ったり来たり繰り返していて、
ああこいつお腹がすいているんだなと気づいた。
音は続いている。バラバラゴロゴロ。
猫缶を取り出しながら、飴玉を食べることについて考えてみる。
(思えば初めて考える。)
だがしばらくして
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)