トマト/水町綜助
痺れて
僕たちはそれだけ
それだけでいい
僕は空気を壊すように
あなたは風を孕ませるように
進めばいい
そしてどこかの岬の灯台でいつか
カモメの糞に脅えながら
ああきたねえとか笑ってのんで
酔っぱらえれば
それでいい
雑音が多い
雑音が多いよ
町は
人の集まるところは
そのさなかは
真夜中の高円寺で
人に連れて行かれたバーで
バーテンの野卑な冗談に
本気で
怒った
あなたが好きだ
それは肉体だけの繋がりでしょう
え?
ちがう
絶対に違う
頬は上気し
血が逆巻いていた
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