二十一世紀少年/大覚アキラ
回すナイフを
ジャッキー・チェンのように右足で蹴り飛ばしたおれは
そいつのみぞおちに正拳突きを喰らわせる
という妄想
ケータイで呼び出されたそいつらの知り合いのヤクザ者が現れ
いとも簡単にガムテープで拘束されたおれは
黒塗りのクラウンのトランクに放り込まれてしまう
という妄想
どこかよく分からない場所に運ばれて行きながら
真っ暗なトランクの中で死の恐怖に怯えて
ガタガタ震えながら失禁してしまう
という妄想
小便の匂いに満たされた暗闇の中で
おれは夢を見る
生まれたときから
今に至るまでの数十年間の時間を
猛スピードで反芻する
そんな夢を
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