二十一世紀少年/大覚アキラ
夢を見る
世界がまだ
昭和だったころ
戦争が終わって
街が造りなおされて
真新しいアスファルトの上を
排気ガスを撒き散らしながら車が走り回るようになったころ
おれは生まれた
人間を乗せたロケットが月に行ったり
巨大な鉄球がどっかの山荘をぶっ壊したり
銀行に立て篭もった強盗が突入した機動隊に射殺されたり
工場が垂れ流した廃水のせいで漁村の人々が病気になったりするのを
みんなブラウン管に釘付けになって見ていたのは
つい最近のことのように思えるのに
なんだよいったい
いつの間に二十一世紀になっちまったんだよ
二十一世紀になってもおれたちの暮らす街の名前は
池
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