no title/一絵
 
「そこがいいんだよ。そこがイイ女だ。」
と言って世界中の誰よりも愛してる!という慈愛の目で女を見つめていた。
その時のあいつの顔は世界の誰よりもキモかった。俺は忘れはしない。

「あ、ちょっと待って。お茶でも淹れてくる。」
慈愛の目がいきなり俺に向けられた。客人をもてなそうという奴の愛を受ける
ハメになろうとした瞬間だった
ぐき
鈍い音がした。
あいつが立ち上がろうとした反動で女は床に倒れ、同時にあいつの大きな
足に踏み潰されたのだ。
「おい!女!ユメカチャン!う、腕が取れてる!!!!」
俺は慌てた。おい待て。こんなときも女はイイ女でいたいのか?
苦しみもせず、叫びもせず
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