少年は病的に解放する/水町綜助
 

少年の落下と父の死は同義だった

少年が飛び込んだまたは蹴落とされた樽は
大半が真水だったのでそれはさまざまな色を映した
そして少年が落下したときそこに満ちていた色は
屋上の上にぽっかりと浮かんだ当時の晴天の色濃い青空で
それと霹靂(へきれき)として濁々と流し込まれた死顔の色
後は少年のまだわかい血液

その色たちは少年の白かった骨に浸透した
だから肉を剥げば少年の骨は
ちょうど温泉土産のガイコツのキーホルダーのように
色付けされている
晴天と土色と薄い赤
そしてところどころ混ざり合った紫
そんな色をしている

普段その色は
その後知り合った人々になすり
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