5つの報告/んなこたーない
 
佐藤春夫をクソミソに貶しているが、
いま現在の作家で佐藤春夫の日本語にケチをつける根性を持っている人は少ないと思う。
なんにしろ、「今の若い奴は」式に国語能力の低下を憂うのはお決まりのパターンの一つで、
言葉を知らない、手紙の書き方を知らない、おまけに字が汚い、といった
文学者同士のやっつけあいは、昔はとくに盛んであったようだ。

「正しい」「間違い」、あるいは「正常」「異常」とはどう測定しうるものであろうか。
それぞれがそれぞれの反対概念として定立する、というのでは何ら答えにならない。
「正しい」「正常」を十全なものと理解するならば、「間違い」「異常」は欠陥のあるものと考えられる
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