空の巣/水町綜助
 
たままの姿勢で、ヘリコプターを追うように歩いていった。
すると、視界の中心に焦げ茶色の丸いものが現れた。
足長蜂の巣だった。
乾ききったそれに、蜂はもういはしないようだった。
空を透かしたトタンに作られたそれは、空の上に作られたもののように見えた。
僕はそれをしばらくの間見て、次にトタン板を注視して、そのつぎに白々しい光に満たされている空をぼんやりと見た。
そして最後にそれらすべてを、ちょうどスライド写真のように重ね合わせ、ひとつの光景として見た。
けして激しくはない空の光が、それでも少し眩しくて僕は視線を降ろした。
いつしか鉄板は途切れていて、だだっぴろいコンクリートの駐車場に入
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