空の巣/水町綜助
 
ーバーが生えだしているのを見たりしながら。
窓から、せわしなく出支度をしている母の声が聞こえる。

「鍵はどこに置いたっけ?ちょっとおねえちゃん!あんた出かけるの?それとも留守番してるの?ちょっとはっきりしてよ!」…etc.…etc.

クローバーに飽きて、ふと上を見上げると、軒先にしつらえられた、透明のトタン板で出来た雨よけが目に入った。
風雨にさらされ、もう白くぼやけてしまったそれは、薄曇りの空の光を透かして、それ自体が発光しているようにも見えた。
透かしてみた空に、ヘリコプターが飛んでいて、よく聞き取れない宣伝文句がトタン板に次々と書き込まれていった。

僕は上を見上げたま
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