空の巣/水町綜助
間激しさを増し、気が付くと鳴り止んでいる、というような事がよくあった。
それはまさしく、通り雨の到来と収束に同調していたので、僕はそれを幼稚な言葉で「あめ鬼」と呼んでいた。言葉が先行し、その後から発生したイメージでは、青く皺深い二頭身に巨大な黄色の目、肌は全体的に飴がかかった様にてらてらとしていた。
そしてなぜその言葉を選んだのかまでは僕は覚えていない。
ただ、そんな事があったことは確かだと僕は認識している。いや、記憶はしている。
「少し眠っていいかな?」
僕は運転手に尋ねる。
なぜ運転手に伺いを立てなければいけないのかとも思ったが、僕はきっとすこし酔っている。
今の僕に
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