空の巣/水町綜助
が、雨の一条一条に震え、波紋はたわみ、打ち消しあっている。
僕はまた思う。
こんな夜は、以前にもあったような、初めて見るような。
頭が痛い。
道は真っ直ぐになり、運転手はアクセルを開ける。
「頭が痛いよ、さっきから」
僕はつぶやく。
「見たところ大して飲んでるようには見えませんけどねああきっとあれだ。偏頭痛じゃないんですかお客さん。あれは似てるから」
運転手はせわしなくしゃべる。何か調子がはずれた、うわずった声。
「天気が曖昧だったしな」
そういえば、子供の頃、僕は偏頭痛持ちだった。急な雨の日など、まるでサイレンの音のように、いつからか頭の中で鳴り始め、束の間激
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