@ノ”「えいえんをめぐる短詩集」/ダーザイン
朝もやの中すすきのの片隅で
酔いにまかせて飛び込んだ10月の夜の海の底で
倒産したも同然の会社で
いまさら無意味な月次収支を報告したときの
社長の泣きそうな顔の中に
いつまでもねちっこく夢にでて来る死んだ女の面影の中に
深淵
世界の真中にはぽっかりと穴が開いていて
埋めることも
橋を架けることも
身を投げることもできなかった
えいえんなんてなかった
地雷の上にも
わんこのむくむくの手触りのようなえいえん
トタン屋根に映った星の光のようなえいえん
あの娘のほっぺのえくぼのようなえいえん
遠い異国の丘の上で地雷の上にも咲いたアザミ
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