「月の亡骸」/なかがわひろか
 

太陽:「それでいいと。」
月 :「それでいい、と。」
太陽:「私も貴女と終(つひ)えてしまいたい。」
月 :「嬉しい・・・けれどそれだけはおやめになって。」
太陽:「貴女と共に終えてしまえるのなら・・・。」
月 :「駄目。貴方は輝き続けなければなりません。」
太陽:「どうして!」
月 :「貴方はきっと後悔してしまうから。」
太陽:「そんなことはない。」
月 :「いいえ。貴方は毎夜遠めから私を慕ってくれておりました。」
太陽:「距離など、私には関係のないことだ。」
月 :「いいえ。私はもう幾分も、幾分も年を重ねて参りました。貴方のお側にいれるような
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