最初で最後の握手。。。(改訂版)/Lily of the valley
 
しか居ないのを確かめてから、ドアをノックし、恐る恐る半分ほど扉を開けた。
卒業生の遠慮からか、喧嘩していたことを引きずっているのか、ボクは少し入り辛そうにしていたのだろう。
すると、先生は『入って良いよ。』と声をかけてくれた。
その言葉に惹かれるように研究室に足を踏み込み、後ろ手でドアを閉めた。
数ヶ月前までと同じような、取り止めも無い会話。
普段通り接してくれる先生。
何でも無いことなのに、何故か無性に嬉しかった。
ボクが勝手に意地を張って、研究室にも、先生にも近寄らず、避けていたのに、先生は怒りもしなかった。
怒っている風でも、呆れている風でもなく、ただただいつものように話し、
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