R/芳賀梨花子
ったら、お父さんはとっても喜んで、そうか、そうかと私の手をぎゅっと握り締めてくれた。パパ、痛いよといったら、パパは小さな頃ハックルベリー・フィンになりたかったんだって言った。
Rubby
お父さんと百貨店のウインドウの前で会うこともなくなって、私は買えないやしないのに宝石売り場で光る石を見ている。お父さんが大人になったら買ってくれるといっていた誕生石の指輪。私は七月生まれだったけど、私が見つめていたのは6月の誕生石。ごめんね、と思ったけれど、お父さんは約束のことなど忘れてしまっただろうと、その場から静かに立ち去り、ボーイフレンドとの待ち合わせの改札口へ急ぐ。
Rag
お父さ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)