映画『PERFECT DAYS』──あるいは安全な賭け/中田満帆
 

 ヴィム・ヴェンダース監督はあるインタビューのなかで、本作の主人公・平山を僧侶に喩えている。宗教世界の求道者としての人間と、世俗世界での労働者を混同した件の表現には違和感しかなかった。インタビューそのものは作品の理解を助けてくれるという意味でよかったとおもうし、主人公の公衆便所清掃人・平山がどういった過去を経験して現在に至るのかが明瞭になっており、読む意味は多いにある。しかし、監督が話せば話すほどに、映画とのへだたりを感じずにはおられない点ではよくなかった。

 映画は終始一貫、ある種の安全圏に生きる男が描かれていて、時折起きる突発的な問題も吸収されるかたちで、解消されてしまう。同僚の欠員
[次のページ]
戻る   Point(0)