竪琴と寓話、または水滴の状態/牛坂夏輝
 
竪琴は
夜の
蒼白な
印象の前で
自分の理想的な
藁を弾いている

音は
明晰な鳩たちよりも先に濡れ
可憐な
仮設住宅の
ランプを交換した

それは寓話である

寓話とは
口を閉じて立つ
内部の昆虫たちを
色褪せた
最初の情報の中に沈める行為である

そこでは巻き毛だけが
浮上のための農耕地を持つ

均衡を欠いた暗がりで水滴が震える

水滴は
軽はずみな事実を
隣室の花瓶の中から記憶し
戦く紫外線の代役として
落下の内部にいる
ひとつの思想である

弦は触れられるたび
気高い十字路
ゴムの膜
形骸化した墓石の歌を失う


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