俗なる散文よ、幸せなる詩よ/杉原詠二(黒髪)
愚かな過去よ
眼を閉じよ
愚かな人よ
口を閉じよ
しゃべりたいなら
心の中でしゃべれ
この空にこそ
偉大な価値がある
わたしの夢を運んでくれるから
夢なしでは愛は成り立たない
現実だけでは俗に塗れた悲しい思いになる
だから今ここで
わたしは詩を紡いでいる
散文へのあきらめを
ニュースペーパーの余白に綴って
歌のような言葉を自分の声に響かせて
花園での戯れと
深静たる湖での沐浴と
緻密な数の計算と
苦行をやめた後の幸せへの眼差しをもって
永遠の詩を書こうとしている
散文で愛を告げられるだろうか
悲しみをのせた小説が
何百万部売れようとも
せ
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