2007 01/16 22:32
大村 浩一
その夢はもう見ない
先日、数年来度々見ていた、あるシリーズの夢が終わった。
人が見る夢のなかには、ある場面、ある設定が必ず出てくる、あたかも連続
ドラマのようなシリーズものがあるようだ。私の場合それは『卒業できない』
シリーズというやつらしい。今回終わったのはそのうち「大学に再入学して、
なのに全然授業を受けていない」というシリーズ。就職した後になって、何か
を志した自分が、一度卒業した筈の厚木の某大学に再入学しているのだが…
バスに乗っていた。大学で試験か何かがあるために乗っているらしいのだが、
試験そのものが何に対してなのかさえ分からないままで、大変焦った気持ちで
いた。そもそも折角再入学したのに全く勉強していない。殆ど学校には通えて
いないし、授業も全く受けていない。
それでふと考えた。こんな状態でなぜ退学にもならず、学校に籍が置けるも
のだろうか。学費だって一度も払った覚えが無いのに…
そこでハッと、夢の中で気づいてしまった。これは夢なんだ、と。こんなに
も長期間お金を払わずに、居られる大学などあるものか。
すぐさま目が覚めた。まだ暗い、午前5時頃だった。
この夢が自分にとって怖かったのは、自分がこれをあたかも現実のように思
っていた事だ。毎日会社に通い、暗くなってから帰るのだから、大学に行ける
筈などないのに、僕の中のどこかで自分はまだ、時間を作ってあの大学へ再入
学して通っている事になっていたのだ。他人からそのことを不意に訊ねられた
ら、うっかり「うん、まだ籍はあるんだ」とか答えかねない程に、そう思って
いたのだ。
だけれど、夢のなかでそれに気づいてしまった。
だからもう、この夢は見ない。だろうと思う。