07/30 13:28
六崎杏介
琵琶湖が氾濫して街が水没した。
僕と奥さんは奇跡的に近くの山の頂上に逃げて助かった(奥さんは実際には死んでいた)。
見渡す限り水、水、水。
そこで奥さんと生き延びる(奥さんは実際には死んでいる)為に、日本刀を何処かから調達して、日夜、漂着する死体や幽霊みたいなのを相手に、食料を守ろうと斬りつけていた。
ある日、漂着した妊婦の死体が生きた子供を産んでいて、それを僕と奥さんの子供と勘違いした僕は、死体に罵声を浴びせ、斬りつけながらそれを取り上げ、育てた。
子供が10才位になった時、子供が何やら変な事を言う。奴らが笑っていると。
周りを見渡すと、何万という幽霊がこちらを見てケタケタ笑っている。それを見て、ああ、もう死んでいいのか、と思った。