2004 12/12 09:15
Six
ほぼ20年ぶりぐらいに高校の時の友人たちと食事をする。色んな種類のスパゲッティーを次々に注文して口に運ぶが、全部同じ味がする。そして、何故かテーブルにはいつも3人ぐらいしか居なくて(本当は7人ぐらいは居るはずなのに)、誰かが常に席を外しているのだ。一番仲のよかったKちゃんに会いたいのだが、彼女の姿が見えないのが本当に寂しい。そのうちに、わたしも次の約束の時間が近づいてきたので、暇乞いを告げ、その場をあとにする。華やかなショッピング街、買い物もしたいのだが、その時間が無い。歩いているとそのうちに、家の近所の海岸に出る。冬になると透明度が増す緑色の海の中で、たくさんの人がダイビングやシュノーケリングをしている。しかし、そろそろ低気圧が近づいているという。そういえば、向こうの方から虹が姿を変えて近づいてくる。七色の色彩の重なりが、横になったり縦になったりしていて、よくみると数字がついているのだ。それがこのあたりの気圧を示す数字らしい。学校の先生らしき人が「早く陸にあがりなさい」というので、わたしたちは向かい風の中を歩く。そろそろ約束の時間だ。合唱団事務所の片付けに行かないといけない。事務所につくと、大音量で誰かがSMのビデオを見ているので、こっそり部屋に入る。部屋の中には案外たくさんの人が居て、みな笑いながらSMのビデオを見ていて、これは安く購入したものらしい。そういえば、これまで出会った人たちから激励として手提げ袋を幾つか貰っていたのだが、全部どこかに置き忘れていたことに気づいた。取りに行ってきますと言って、部屋をあとにし、外に出ると、芝生の高い丘があって、これを越えなければいけない。足を踏み出すと、小さい虫がどっさり空中にわきあがってきて、まるで嵐のようになった。顔にバチバチと虫の大群が当たるのを我慢しながら、ようやく、わたしは今ドイツに居るのだということを思い出した。これよりずうっと前に、電車に乗ってドイツにやってきたのだった。そして、強風のせいで身体がふわっと浮き上がって虫といっしょに空中を漂うしかなかった。