2004 09/28 07:13
田代深子
> 石川さん
言いました......「かわいい」 どうしてこう迂闊なんでしょう
少しく考えてみました
「母性」という語をネットで拾ってみたところ最近では
エロス的な子どもの甘やかし と意味づけられたりするようです
これは悪い意味ではなく 子どもの成長過程には
無条件に 理屈抜きに 心身共に甘やかせてくれる存在は
やはり必要なわけです
対して「父性」というのは ロゴス的甘やかし とされる
大きく許しつつ子どもと社会の橋渡しをする役割を持つ と
これならば 女が母性をもち 男が父性をもつ と考えなくともよい(笑)
しかし そういう定義よりも わたしが あ そうだった と思ったのは
母性父性ということを語るとき不可欠なのは
それを必要とする〈子〉の存在であって
〈子〉のないところに母性も父性もありはしない
ということでした
母性父性はジェンダーやセクシャリティに還元されるべきものではないよな と
母性父性を 親たちに すでにして内在するもの と考えてしまうと
つまり母性父性を〈親〉の「性質」まかせにして放置すると
〈子〉を 未熟な〈親〉の暴力にさらすことになるのではないかな と
誰も はじめから成熟した母性父性など もっていないのであれば
それは〈子〉のために 適した形に 形成していかなければならないのでしょう
これは石川さんがおっしゃったこととは いささか違いますが
わたしが気にした「満たされない母性が歪む」なんてことはないよな と
ちょっと笑ってしまいました
しかし起こりがちな錯誤はあるでしょう わたしの書いた「かわいい」のような
いかんせん「母性」はエロス的です フロイトになっちゃいますが
性愛に非常に近しい感じがします とても身体的ですしね
性愛に 母性に似たものが含まれることは ままありそうです
わたしをして 中上健次という稀有な作家に対し 「かわいい」などという
傲慢な言葉を使わしめたのは むしろ作家に対する性愛的感情であった
のではないか と思いもします 要するに作家を自分の物語にとりこんで
架空のエロスの対象としたわけです (ミーハー根性ここにあり)
石川さんのご指摘にあった「揶揄」も含まれているように思います
〈女〉をあれほど対象として書く〈男〉が〈母〉から逃れ得ないことへの
冥い喜びを含む揶揄です たしかに それではルサンチマンです
わたしが「女であること」に苦しくしばられている顕れなのでしょう
ええ しばられていますとも(笑)