悲しみの因数分解
吉岡ペペロ



悲しすぎると

胸が痛い

それどころか

背中まで痛い

時間がとまっている

きらきらと静かなひかり

新緑は幽霊みたいにふくらんでいる


女々しく泣いた

声が聞きたかった

あたまに血がこびりついている

性器を見つめながら名前を呼んだ

白濁がでなくなるまで

つまらなくなれ、つまらなくなれ、

なんどもだした

つまらなくなれ、つまらなくなれ、

なんどもだした

なみだが止まらない

嗚咽がかぶさる

うしないたくなかった

かさねたかった

薄皮をかさねるように

できることをできる範囲でかさねたかった


悲しすぎると

胸が痛い

それどころか

背中まで痛い

時間がとまっている

きらきらと静かなひかり

新緑は幽霊みたいにふくらんでいる


携帯写真+詩 悲しみの因数分解 Copyright 吉岡ペペロ 2013-05-03 16:50:01
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