つぶやく春を
石瀬琳々

風すこしあかるい街の片隅で Cover me またつぶやく春を


なみだ涙こぼれてもいい胸濡らしそこにたまれば空を映そう


雨の朝、こぼれる雫受けかねてただごめんねと呟いてみる


目隠しでくちづけられる水中花君と溺れる春の水槽


春の日をもとめる指に光あれ揺られて静か水仙香る


うすあおいガラスのような四月の日うそ鳥になりナキマネする日


あめ雨雨、とめどなく窓打つまひる辿る指さき痛みだけ知る


桜さくら、目の中に咲く夢に咲くいつかどこかで見たような春


遠き日を汽笛を風を寄せ返す海の響きを一人待つ道




短歌 つぶやく春を Copyright 石瀬琳々 2010-05-13 13:38:08
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薊道