[268]足立らどみ[2025 05/15 16:05]☆
景が、冬の静寂から一転して希望に満ちた世界へと飛躍するさまが謳われています。ここでの「情念」は、東アジアから来た王仁博士が帝の即位を心から喜ぶ純粋な慶祝感情として現れ、花(春)の象徴性を通して表現されています。万葉・古今集など古典和歌では、季節や花鳥風月を媒介に心情を暗示する技法が典型的で(例: 花=喜び・生命の蘇り)、直截的な自我表現よりも情緒的な含みや余白が重視されます。王仁の歌も、春の到来に沸く自然を詠みつつ、自らの喜びを詠み手・聴き手に共有する情念の発露といえます。
近代詩における情念表現
近代以降、日本詩は自由詩や新体詩の形式を取りながら、個人の内面や社会情勢への感受を詠むよ
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