オクノホソミチ 〜KAZANAGI風味〜/Rin.
が負ける場合、チョキなんてマイナーなものをだすのは自爆行為である。こういう時は、パーかグーが相場と決まっている。なのに何を思ったか、私の手からは、憎々しい2本の指がニョッキリ笑って突き出ていた。
ひとりはみだした私は仕方なく、となりのおじさんの観察を始めた。車内はそんなに冷房がきいているわけではなかった。が、おじさんはずっとズルズル鼻をすすっている。どうやら夏風邪らしい。彼はティッシュを1枚取り出すと、ぢーん、と鼻をかんだ。半端じゃなくすごい音に、私はすこし身を廊下側に寄せた。身の安全が保証されたとたん、私はおじさんが心配になった。はたしてティッシュ1枚で足りたのだろうか。あの音から察する限り
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