即興詩会(飛びいれ!火にいる夏の虫、編)1/ワタナベ
 

「出られないって自分で言ったのにね
 馬鹿だから、難しい漢字も読めないし
 空気が凍っててもさ、外出たい時ってあるじゃない」

慌ててお湯を汲んで来て溶かそうとしたが
水道管は凍りついているらしく
アイロンもこたつも
玄関までは届かなかった
ならば僕の身体で暖めてやればいい
そう気付いて服を脱いだが
君はさっきよりもさらに遠く
凍った空気の奥に進んでしまっていた
「馬鹿だねあたし
 何で動いちゃったんだろね
 帰りたいんだけどね
 ねえ、こっち来ないでね
 危ないよ。ほんと寒いし。
 実はもう動けないし。
 今まで楽しか
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