腐ったツナサンド/虹村 凌
を吸ってみたいと思うけれど
実際は安いライターで柔らかいフィルターのキャメルに火をつけながら
フィルターまで溶けかかったセブンスターズを踏みにじる
薄暗い歩道を歩きながら
自分の国が腐っていく様を何故か思い描く
弱り腐って行く自分の祖国を見ているのは嫌だけど
腐ってるのは冷蔵庫の中にあるツナサンドも俺の目も同じだから
もうどうしようもねぇんじゃねぇかな
上手く言えないけど嫌なもんは嫌さ
だけどこの町だってこの国だって
俺の財布の中の金も
さっき飲んだコーヒーも
今吸ってる煙草だって
もう腐りきってるじゃねぇか
そうだろう?
俺の脳みそももうとっくに腐りきってるんだ
俺はポケットの中のナイフを握りしめて
遠く離れた両親に小さな声で謝った
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