エリオット「伝統と個人の才能」/藤原 実
 
かしいのではないか。「伝統と個人の才能」全体を読むとむしろエリオットは逆のことを言っているように思う。


「ひとりの詩人や芸術家が過去に順応し一致しなければならないといっても、それは一方的なものではない。ひとつの新しい芸術作品が創造されると、それに先立つあらゆる芸術作品にも同時におこるようななにごとかが起こる。

現存のさまざまなすぐれた芸術作品は、それだけで相互にひとつの理想的な秩序を形成しているが、そのなかに新しい(真に新しい)作品が入ってくることにより、この秩序に、ある変更が加えられるのである。現存の秩序は、新しい作品が出てくるまえにすでにできあがっている
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