ペイター「ルネサンス」(1)/藤原 実
 
ことはすでにペイターによって論じられていたのであり、西脇のペイター体験
がヒュームの説を受け入れる素地になったのではないだろうか。

西脇は『現代詩の意義』という評論の中で「今日エリオット氏やリチャーズ氏のいうよう
に、ペイターを攻撃するのはあまりに印象ということを簡単に考えすぎているのではない
か」といい、「印象批評のやりかたと同じようなやりかたで私は詩をつくりたいと思う」
と続けている。そしてそれはじっさいにはペイターのやりかたで…ということだった。


   「顔や手足の明瞭ないつも変わらぬ輪郭は、われわれ自身のもつ影像で、その影像
    のもとに顔とか手足とかをまとめ
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