灰に埋もれた塔/
木立 悟
よこしまないそしぎ
誰のための音も流れない
私の手をかすめ
とびはねては消えていく
苦しい苦しい泣き顔たち
曇りの朝は水を欲しがり
ひとり 作りものの他人にすがって泣く
水滴と臭いの支配におびえ
月のそばの星
血から遠く赤い星をほじくろうとする
低音の連続
仮のひかり
私が消えた翌日から
小さなしるしが部屋に浮かんで
責められもしない幸福に苦しんでいる
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グループ"1986年の詩"
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