小詩集【肯定ペンギンの消えたコロニー】/千波 一也
 

秋も冬も
春から遠い

朝も昼も夜もひと夏と変わりなく



瞳のそばでくずれる殻よ

それは置き去りのかたちか
それともうつろか
まったくの
うつろか


そらは
どこまで連れ添うのだろう

あいにくと
何もかもが透けてしまうから
けれど
それゆえにこそ
つばさはゆるされる

消えゆくものにふさわしく
たよりないつばさが
ゆるされる

淡くもうつつを呼ぶならば




六、はじめまして


わかり合えたら素敵だね

そういうことを
忘れずにいられたら
なお素敵
だね


途方もないことは難しくて
些細な
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