連音/ミンナ草/AB(なかほど)
さんの草を刈りに)
やおら
まさるの親父が立ち
この度い、町議に立候補おしましたあ
とやり始めた
そうか
子供のうちに食べられないのは
そういうことかと一人納得をしながら
そういえばうちの叔父のとこでも
明日 山羊汁だ
とか言っていたのを思いだした
翌日 やはり
山羊汁に中ってしまった腹と頭をさすりながら
まだまだ子供なのさとつぶやきつつ
叔父の決起集会にふらふらと行くと
意外にも
そこに まさるの笑顔を見て
ああ もう彼は大人なんだと思った
僕は僕で
山羊汁の匂いが迎えてくれただけで
また
祖母のしわがれた声がかすめてきて
今度は僕が採りに行こうと決めたのに
あのミンナ草のある場所さえも **
もう探せない
*「 べーべーぬくさかいが」本島北部の童歌
**「ミンナ草」=ルリハコベ
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