死神と私 −夜の腕−/蒸発王
 

宿題があろうがテレビがあろうが電気は消えます
文句を言うと
夜に抱きしめられてはいけないからだと言い

私を夜の公園に連れてきました

空気の冷たさが青い粒になって
中で止まっているかのような群青夜の中で
何人ものホームレスのくるまった毛布が
蒼く光っていました
彼らは
寒さと蒼さで眠れないようです
死神は其の中の一山を指差すと
“夜の腕はとても長いのですよ”
と言いました
良く見ると人の背ほどある
細長い腕が
彼らの上を交差しています


夜は産まれつき長い腕だから
誰かを抱きしめたくて仕方が無い
一度抱きしめたなら離さないし
何人抱きしめても

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