ノート(午後のぬりえ)/木立 悟
行方知れず
見つめながら
同じ目になる
夕映えを聴く
鼓動とくちびる
覆うにおいに
まぶた白く
片方ふせる
午後の火が鳴る
遠くをわたる
雲のかたちに
原をなぞる
歩くものなく
水は過ぎる
つながるまでの
風のひといき
ぬれ雪のなか
景は増える
朝のひひる
音だけのひひる
ぴ を忘れた日
ぴ は鳴りひびき
線なぞる色
手のひらの色
とどめ とどめぬ
そのくりかえし
もう過ぎたやら
我が折りかえし
いつわりの庭
にこやかに出て
ふとひるがえる
うたごえの色
手にまぶしく
目に暗く
微笑みの声
降りつづく声
散る紙を染め
つぶさにこぼれ
あふれ止まない
金と緑
つぼみふちどり
消えかける空
草かげの笑み
ひとつ咲かせる
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