ノート(指記)/木立 悟
 



糸の光
曇に沈み
雨は低く
小声 小声


まぶた かけら
冷えて重なり
愚かしさのまま
流れ 昇る


高く積まれたもののなかから
少しだけ見える鏡の先端
まばたく音を
色へと変える


溶けるのではなく混ざるのではなく
ただ重なりつづけるものたちの声を
いつか奏でる器たちのために
指は奏でることなく書きとめてゆく


反射が生まれ
光はわたる
ひとつ ひとつ
飛び越える笑み


閉じたまぶたの上の声
ころがりすすむその先を
追い求めずに追い求めるとき
遠くに遠くにまばゆさはある














   グループ"ノート"
   Point(8)