ノート(原のなかの家)/
木立 悟
なかのどの窓にも
空の他は映っておらず
むらさきの額に入れられた
空を切り取る絵のようだった
塊を失くし
壁は倒れ
流れは速く
色を置き去り
鳥はかがやき
柱をめぐり
屋根の上をすぎていった
岩の街の通りから
声はうたを聴いていた
蒼と灰の水たまり
夜を遠ざけ
原を呑み込む火に囲まれて
家は静かにたたずんでいた
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