ノート(こがね めぐる)/
木立 悟
吹雪を歩む子の喉を
ぬぐうようにすぎてゆく火
忘れかけた尾のかたち
飛び立てずに泣く夜の
足もとに凍り重なる光
土の底の根を照らす
波も血も笑みも
こがねと涙のふところから
足跡から足跡へ
あふれる
鉛の線が吹雪をたどり
やわらかな火を連れてゆく
唱は帰らない
次の唱が来る
川へ海へ星は流れ
多くの水をめぐりながら
どこにも着けない波を見つめる
数えつづける指
遠のく光を 数え切れない
尾と羽と背を
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