ノート(川辺)/木立 悟
 




ひとつのまぶたを
たしかめる音
分かれてゆく世界を
見つめる鳥


理解 埋葬
翼が多いほうを選ぶ
遠い雨の下の川
沈む羽と波
見つめる鳥


きらびやかな啓示と呪い
床に道に土に
落ちては落ちては撥ね返る
牙と牙の
擦れ合う唱


刹那 鈍色 普遍
ひとつの水草の指す方へ
興すものは現われる
歪み 飾られ
それでも直ぐに 進みゆくもの


伝承と町
貼られ 剥がされ
窓と壁と 弦にちぎれ
行き着く先へ
積もる便り


治りかけた傷
血という水
骨のすきまから
はばたき 飛び立ち
昇るほどに色を捨て去ってゆく


憎しみから折った
ひとつの枝を
水たまりに立てる
見つめる鳥を
なだめるようにまぶたをふせる














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   Point(5)