ノート(刃)/木立 悟
刃が
葉のかたちを描く
死と夜は出会う
羽と羽以外のもののあいだにさかいめはなく
常に常に激しく
すべては行き来しつづけている
わずかに曲がるからだの線に
寄りそいすぎる冷たさがあり
やさしく悲しく避けられている
音とは異なる音の時刻に
片方の目は痛みだす
見つめたいと欲するものが
ひとつ残らず飛び去る時刻に
ほとばしるものらを受け入れながら
渇きはおさまることを知らない
水たまりをさまよう双つのくちびる
燃しても燃しても絶えぬもの
己れにも言葉にも酔えぬもの
源の花を
受け取ることなく受け取るもの
あこがれから遠く離れ
常に騒がしい月を浴び
水底に置かれる刃の上に
死と夜は震え寄りそっている
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