ノート(転輪)/木立 悟
 



片方の手が火に花になり
もう片方の手が眠らず見ていた
寝床は静かだった
寝床は緑だった


熱の羽が取れ脚が取れ
ひたいとまぶたに降りつもり
また羽が生え脚が生え
手のはざまの宙をまわる


音の輪くぐり
踊り場を燃し
早く早くとはやしたてる
声はどこまでもこがねのわがまま


ななめ下に振り向く空
夜のむこうを見る瞳
じっとじっと見つめあう
ゆらぎをはさんで見つめあう


はじまりに満ちた本を閉じ
ころがりゆく輪の音を聴く
坂も無く 星も無く
触れるもの無く輪は道をゆく


腕は空に着き
熱の種を蒔く
穂の尾 穂の尾
眠ることのない瞳を照らす












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