ノート(熱と朝)/木立 悟
白に付いた
銀を削ぐ
白になど
付いてほしくなかった
かちりと鳴り
風が止まり
吸うようにひとふさ
寝床に入りこむ
寒さにしびれ
何も感じないのをいいことに
もっともっと入りこもうとする
一晩中くりかえす
わかるでしょう
見えるものを見ないあなたなら
いま触れているところが
次に触れるところが
渦の真下にあけられた穴
誰にも止められない流れ
ひらきひらき ひらくしかない
いつのまにか寒さは熱い
流れるものは流れつくして
朝は冷めてかわいている
どこかでわたしが鳴っている
銀の破片に鳴りつづけている
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