ノート(46Y.8・17)/木立 悟
低い流れに目を泳がせて
わずかな光を見わたしながら
溺れぬように 眠らぬように
せめて行方を見られるように
屋根づたいに行き 海を巡る
別れ 別れ
別ればかりが多いのは
すれちがいを出会いだと信じたいから
だらだらとつづくただの日記が
芸術や人生訓に見える夢から覚めたら
世の中に顧みられない音楽を
たまには聴いてみるのもいいかもしれない
ここにこうしてひとりでいるのも
既に二重の病なのだろう
わけのわからぬ処方箋が
積もる音を見つめているのは
出口のない入口が
罠のように在りつづけ
紙をちぎる音だけが
片耳を片耳をすぎてゆく
明るさの照らせないもののなかに
遠のいてゆくかけらがあり
何も持っていないはずなのに
ほんとうの何かをこぼしつづける
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